【ネタバレなし】ループ系映画『LOOP ループ 時に囚われた男』の感想と考察

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2016年に公開された、ハンガリーの映画『LOOP ループ 時に囚われた男』。
ハンガリー映画という時点であまり馴染みがない上に、よくあるタイムリープものと思いきや、予想の斜め上を行く展開の作品でした。

今回は、ありふれたループ系作品に飽きた人におすすめの『LOOP ループ 時に囚われた男』のあらすじや感想、考察について紹介していきます。
個性的で不思議な展開の作品をお探しの方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

映画『LOOP ループ 時に囚われた男』の概要

公開2016年
上映時間95分
監督イシュティ・マダラース
脚本イシュティ・マダラース
キャストディーネシュ・サーラズ
ドリナ・マルティノヴィチ
ジョルト・アンゲル

テーマが面白いことはもちろん、95分の短い作品なのでサクッと観られるのも魅力です。
休日の前の日の夜に観るにもピッタリのボリュームです。

本ブログでは、他にも100分以内でサクッと観られる、おすすめの娯楽映画をご紹介しています。
興味のある方は、こちらからぜひチェックしてみてくださいね!

『LOOP ループ 時に囚われた男』のあらすじは?

麻薬の密売を生業とするアダムは、今回の大きな取引を最後に、ボスであるデシューを裏切って恋人のアンナと共に新天地へと向かおうとしていた。

しかし、アンナは出発当日、アダムに妊娠したことを告げ、飛行機のチケットを持って姿を消してしまう。
慌てて彼女を探すアダムが路上で出会ったのは、なぜか傷だらけで酷く困惑している様子のアンナだった。

「なぜ生きているの?さっき死んだはずなのに」

そう言って一本のビデオテープを差し出し、それがアダムがデシューに殺された証拠だと告げるアンナ。二人が口論になりかけたその時、突如アンナは車に跳ね飛ばされてしまう。

事故の現場から逃げ出したアダムは自宅に戻り、アンナから手渡されたビデオテープを再生する。そこに映っていたのは、現在の自分と全く同じ行動・動きをするアダム自身の姿だった。

不審に思いながらもビデオを早送りしてみると、アンナが告げたとおり自分がデシューに殺されるその瞬間が録画されていた。
そしてこれが一体どういうことなのか考える暇もないまま、車に跳ねられたはずのアンナを拉致して部屋に押し入ってきたデシューに、アダムは殺されてしまう。

アンナと路上でぶつかるアダム。だが、なぜか同じ場面を自分は知っている。
ループに迷い込んだと自覚したアダムは、次第にアンナを助けるために奔走するようになる――。

【ネタバレなし】『LOOP ループ 時に囚われた男』の感想

『LOOP ループ 時に囚われた男』を実際に視聴した感想をまとめました。『LOOP ループ 時に囚われた男』が気になっている方、休日に観る映画をお探しの方はぜひ参考にしてくださいね!

※感想はネタバレなしなので、映画未視聴の方も安心してお読み頂けます!

どんな人におすすめ?

映画『LOOP ループ 時に囚われた男』は、下記のような方におすすめです。

  • 変わった切り口のループ物が観たい方
  • 「世にも奇妙な物語」のような雰囲気の作品が好きな方
  • 100分以内でサクッと楽しみたい方

感想:エッシャーの騙し絵の世界に入ったような感覚が味わえる作品

ループ系の作品は大体展開が決まっている感があるので、普段あまり観ないのですが……本作は、導入部分から予想の斜め上空を行くような展開。
良い意味で、「してやられた!」と思いました。

ループ物って、ループするきっかけや起点がはっきりしていますよね。例えば、主人公が死ぬ、あるいは何か特別な行動を起こす、アイテムを使う……などなど。
しかし、本作ではそれも曖昧として実態を掴むことができません。見出しにも書きましたが、まるでエッシャーの騙し絵の世界に入ったような気分にさせられます。


「ペンローズの階段」と呼ばれる不可能図形。歪みのパラドクスを利用している。

実態の掴めない事象は、背筋が何だかゾワゾワするようなホラー感があります。「世にも奇妙な物語」の雰囲気が近いかもしれません。不思議でよく分からない、でも何だか癖になるあの得体の知れない怖さ。

しかし、話が進むにつれ主人公と共に段々と状況が飲み込めてくるのですが、最終的に謎が残る部分も多いため、はっきりとした結末には至らず。
そのため、もしかしたらハッキリとした結末が好きな方はもやもやした気持ちになるかもしれません……

ただ視聴後は、時系列順にメモを書いて物語の全体像を検証してみたい気持ちに駆られること請け合いです!

【ネタバレ含む】『LOOP ループ 時に囚われた男』の考察

ここからは作品の考察を行っていきます。
そのためどうしてもネタバレが含まれますのでご注意ください!

ループしているのはアダム?

本作最大の謎である、ループの起点は誰?という問題。

物語はアダムの視点から描かれていますが、アダムがループの中心であるのかと言われると疑問が残るところです。なぜかというと、アダムは自分の死や行動にかかわらずループするから。
最後まで観ても、ループするのに明確な条件が見えてこないのです。

アンナの死がループのきっかけなのか

一方アンナはどうでしょうか?
アンナはアダムの働きかけ次第で行動が変わるものの、基本的な流れは変わりません。どこかのタイミングでループし、逃走。アダムとぶつかり、車にひかれる。

アダムが最初にデシューに撃たれて浴槽に入れられた自分と対面したとき、タイミング的にはおそらくアンナが路上でアダムとぶつかっていた頃。
ここに注目すると、アンナの死を起点としたループにアダムが巻き込まれているかのように見えます。

しかしそれでは、ラストの電車のシーンが益々意味不明なものに。
序盤でアダムがパンを分け与えた老人が出てきたということは、ループは確実に実行されている状態です。ですが、アンナはこのときアダムの隣にいるので、アンナの死がきっかけだとしたらループする理由がないのです。

全ての始まりはアンナの妊娠

物語の起点は、もしかするとアンナの妊娠にあるのではないでしょうか?

そもそも、ループ開始前と開始後で決定的に違うことは、アンナの妊娠が明らかになっているか否かという点です。つまりこれは、アンナの中で生きている胎児を中心とした物語なのではないでしょうか。

(となると、ますますデシューは巻き込まれただけのとばっちりなのですが……何が何だかわからないうちに何人ものアダムと出くわし、これたまた何が何だかわからないうちに殺されると言う……やっていることは確かに悪党なのですが、振り回されっぱなしのかなり不憫な立ち位置ですよね)

そうすると、最後の電車のシーンでループした理由もわかるような気がします。

あのシーンで、本当はお腹の赤ちゃんの容体が急変したのではないでしょうか?
そう考えると赤ちゃんが助かるには、やはりもう一度ループする必要があるわけで。(本当に憶測でしかないのですが)

アンナとアダム以外でもう一人最初から最後まで物語に関わっていた人物(もちろんデシューでもない笑)は、アンナの中にいる赤ちゃんしかいないと思うのですが、みなさんはどう思われるでしょうか?

異色のループものが観たい方にぴったりの映画

考えれば考えるほど深みにはまっていくような、そんな魅力のある本作。作中のいたるところに意味深なカットやセリフが散りばめられているので、そういったポイントに注目して考察してみるのも楽しいかもしれません。斬新なループ作品の世界をぜひ堪能してみてはいかがでしょうか?

『LOOP ループ 時に囚われた男』はU-NEXTで見放題配信中でした。
トライアル期間もあるので、気になる方は利用してみてはいかがでしょうか?

※本ページの情報は2023年8月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください

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